
AI副業・本業の闇 〜稼げるのは「AIを使う人」ではなく「AIの使い方を教える人」
2023年、ChatGPTの登場によって世界は一変した。
「AIで稼げる時代が来た!」
SNSやYouTubeには、こんな謳い文句が溢れかえっている。
- 「AIで月収100万円!」
- 「ChatGPTで副業を始めよう!」
- 「AIを使えば誰でも稼げる!」
でも、ちょっと待ってほしい。
本当にAIを使って稼いでいる人は、どれだけいるのか?
実は、今起きているのは、
「AIを使って稼ぐ」のではなく「AIの使い方を教えて稼ぐ」ビジネスの蔓延
なのだ。
今回は、この闇について語っていく。
第1章:AI副業ビジネスの構造
AIで稼げると謳う人々
YouTubeやX(旧Twitter)を見ていると、こんな投稿をよく目にする。
「ChatGPTを使って、たった1時間で1万円稼ぎました!」
「AIイラストで副業収入が月30万円!」
「プログラミング知識ゼロでも、AIがあれば稼げる!」
魅力的な言葉が並ぶ。
そして、こう続く。
「無料でAIの使い方を教えます!」
無料商品の罠
「無料なら見てみようかな」
そう思って、メールアドレスを登録する。
すると、PDFや動画が送られてくる。
内容は、
- ChatGPTの基本的な使い方
- プロンプトの書き方
- AIイラストの生成方法
一見、有益な情報。
でも、これは入口に過ぎない。
次に来る「少し高い商品」
無料コンテンツを受け取った数日後。
メールが届く。
「もっと詳しく学びたい方へ、特別なオファーがあります」
- 価格:9,800円〜29,800円
- 内容:「AIで稼ぐ具体的な手法」「プロンプトテンプレート集」「限定コミュニティへの招待」
「無料で学んだ知識を、さらに深められる」
そう思って、購入する。
でも、ここで気づく。
「これ、結局ネットで調べれば分かる内容じゃないか…」
そして「コンテンツ販売のノウハウ」へ
購入した商品の中に、こんな内容が含まれている。
「実は、AIで稼ぐよりも、AIの使い方を教える方が稼げます」
「コンテンツ販売のノウハウ」が売られ始める。
- 価格:49,800円〜298,000円
- 内容:「情報商材の作り方」「マーケティング手法」「販売ページの作成方法」
つまり、
「あなたもこの商品を売る側になりましょう」
という誘導。
最終段階:自分が買った商品をアレンジして販売
コンテンツ販売のノウハウを学んだ人は、こう考える。
「自分もAIの使い方を教える商品を作ろう」
でも、ゼロから作るのは大変。
だから、
自分が今まで購入した商品をアレンジして販売する。
- 無料PDF → 自分の言葉で書き直す
- 有料コンテンツ → 少し内容を変えて販売
- 販売ページ → テンプレートを使い回す
こうして、同じような商品が量産されていく。
第2章:この構造の何が問題なのか
1. 誰も本当にAIで稼いでいない
この構造の最大の問題は、
「AIを使って稼ぐ」という本質から外れている
こと。
売られているのは、
- AIの使い方
- コンテンツ販売のノウハウ
- 情報商材の作り方
であって、AIを使った実際のビジネスではない。
つまり、
「AIで稼ぐ方法」を売っているだけで、本人もAIで稼いでいない。
2. 情報の質が低い
無料で手に入る情報を、有料で売っている。
例えば、
- ChatGPTの使い方 → 公式サイトに書いてある
- プロンプトの書き方 → ネット検索で出てくる
- AIイラストの生成方法 → YouTubeに無料で転がっている
わざわざお金を払う必要がない情報ばかり。
3. 再販の連鎖
最も深刻な問題は、再販の連鎖。
A さんが商品を作る ↓ B さんが購入して、アレンジして販売 ↓ C さんが購入して、アレンジして販売 ↓ D さんが購入して、アレンジして販売
同じ内容の商品が、無限に増殖していく。
そして、誰も気づく。
「これ、前に見た商品と内容が同じじゃないか…」
4. 初心者が被害を受ける
この構造で最も損をするのは、初心者。
- 「AIで稼ぎたい」と思っている人
- 「副業を始めたい」と考えている人
- 「新しいスキルを身につけたい」と願っている人
こういった人たちが、
本当に価値のある情報にたどり着けず、無駄な出費をしてしまう。
第3章:実際の事例
事例1:AIライティングで稼ぐ商材
謳い文句: 「ChatGPTを使えば、1記事10分で5,000円稼げる!」
実態:
- 購入後、送られてくるのは「ChatGPTにブログ記事を書かせる方法」のPDF
- 内容は、ネットで調べれば5分で分かるレベル
- 実際にクラウドソーシングで記事を書いても、単価は1記事500円〜1,000円程度
- 5,000円稼ぐには、何記事も書く必要がある
結論: 商品を売っている人は、記事を書いて稼いでいるのではなく、商品を売って稼いでいる。
事例2:AIイラストで稼ぐ商材
謳い文句: 「Midjourneyで生成したイラストを販売して月30万円!」
実態:
- 購入後、送られてくるのは「Midjourneyの使い方」と「販売サイトの紹介」
- 実際にイラストを販売しても、競合が多すぎて売れない
- しかも、AI生成イラストは著作権の問題がグレーゾーン
- 商品を売っている人も、イラストではなく商品で稼いでいる
結論: AIイラストで稼ぐのは難しい。でも、「AIイラストで稼ぐ方法」を売るのは簡単。
事例3:AIツールの紹介料で稼ぐ商材
謳い文句: 「AIツールのアフィリエイトで不労所得!」
実態:
- 購入後、送られてくるのは「アフィリエイトリンクの貼り方」
- 実際にアフィリエイトで稼ぐには、大量のアクセスが必要
- 初心者が簡単に稼げるわけがない
- 商品を売っている人は、AIツールではなく商品で稼いでいる
結論: 不労所得など存在しない。
第4章:なぜこのビジネスが成立するのか
1. 情報格差
AIは、まだ新しい技術。
「よく分からない」という人が多い。
だからこそ、
「AIで稼げる!」という言葉に飛びつく人がいる。
情報格差を利用したビジネスモデル。
2. 希望を売る商売
人は、希望にお金を払う。
- 「AIで人生が変わるかもしれない」
- 「副業で収入が増えるかもしれない」
- 「新しいスキルが身につくかもしれない」
この「かもしれない」に、お金を払う。
希望を売る商売は、儲かる。
3. 再現性の低さが隠される
「AIで稼いだ!」という実績は見せられる。
でも、その再現性は低い。
例えば、
- たまたまバズった記事
- たまたま売れたイラスト
- たまたま成功した一例
これを「誰でもできる!」と言って売る。
でも、実際には誰でもはできない。
4. 販売者自身も被害者
実は、この商品を売っている人の多くも、元々は買う側だった。
- 「AIで稼げる」と思って商品を購入
- 稼げないことに気づく
- 「じゃあ、自分も売る側になろう」
こうして、被害者が加害者になっていく。
負の連鎖。
第5章:見分け方と対策
怪しい商品の特徴
以下に当てはまる商品は、要注意。
- 「誰でも簡単に稼げる」と謳っている → 簡単に稼げるビジネスなど存在しない
- 「実績」ばかりを強調している → 再現性が低い可能性
- 「期間限定」「今だけ」を連発 → 焦らせて購入を促す手法
- 「無料」から始まる → 後で高額商品を売る前提
- 販売者がAIで稼いだ実績を見せない → 商品を売って稼いでいる
- レビューが曖昧 → 「勉強になりました」だけで、具体的な成果がない
本当に価値のある情報とは
では、どうすれば本当に価値のある情報にたどり着けるのか?
1. 無料の情報を最大限活用する
実は、AIの使い方は、ほぼ全て無料で学べる。
- ChatGPT公式サイト
- YouTube
- ブログ記事
- 公式ドキュメント
お金を払う前に、まず無料の情報を集める。
2. 実際に手を動かす
情報商材を買うよりも、実際にAIを使ってみる。
- ChatGPTで記事を書いてみる
- Midjourneyでイラストを生成してみる
- AIツールを試してみる
手を動かせば、分かることがたくさんある。
3. 本当に稼いでいる人を見極める
「AIで稼いでいる」と言っている人が、
- 本当にAIを使って稼いでいるのか
- それとも、「AIで稼ぐ方法」を売って稼いでいるのか
これを見極める。
本物は、
- 具体的な事例を見せる
- 再現性について正直に話す
- 「簡単」とは言わない
第6章:AI副業の現実
AIで本当に稼げるのか?
結論から言うと、
AIを使って稼ぐことは、可能。
でも、
簡単ではない。
例えば、
- AIライティング → クラウドソーシングで記事執筆の仕事を受注 → でも、単価は低い(1記事500円〜1,000円) → 稼ぐには、大量の記事を書く必要がある
- AIイラスト → ストックサイトやSNSで販売 → でも、競合が多い → しかも、著作権の問題がある
- AIツール開発 → プログラミングスキルが必要 → 初心者には難易度が高い
- AIを使ったコンサルティング → 専門知識と実績が必要 → 信頼を築くまでに時間がかかる
「誰でも簡単に」は、嘘。
本当に稼いでいる人の特徴
実際にAIを使って稼いでいる人は、
- 専門スキルを持っている
- プログラミング
- デザイン
- ライティング
- マーケティング
- 継続的に努力している
- 毎日作業する
- 試行錯誤を繰り返す
- スキルを磨き続ける
- AIを「補助ツール」として使っている
- AIに全て任せるのではなく
- 自分のスキルを強化するために使う
つまり、AIは魔法の杖ではない。
第7章:情報商材ビジネスの歴史
実は、この手法は昔からある。
2000年代:情報商材ブーム
- 「ネットビジネスで稼ぐ方法」
- 「アフィリエイトで月100万円」
- 「FXで億万長者」
こういった商材が大量に売られていた。
そして、多くの人が騙された。
2010年代:YouTube、ブログで稼ぐ系
- 「YouTuberになれば稼げる」
- 「ブログで不労所得」
- 「note販売で月収100万円」
同じ構造。
2020年代:AI副業
- 「AIで稼ぐ」
- 「ChatGPTで副業」
- 「AIイラストで収入」
形を変えただけで、本質は同じ。
第8章:本当に価値のあるスキルとは
AIに頼りすぎない
AIは便利なツール。
でも、AIに全て任せることはできない。
本当に価値のあるスキルは、
- 思考力
- 創造力
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
これらは、AIには代替できない。
AIをどう使うか
AIは、
- 作業を効率化するツール
- アイデアを広げるツール
- 学習をサポートするツール
として使うべき。
「AIを使えば稼げる」ではなく、「AIを使ってスキルを強化する」
これが正しい考え方。
第9章:騙されないために
1. 冷静に考える
「誰でも簡単に稼げる」
この言葉を聞いたら、一度立ち止まる。
本当にそんなビジネスがあるなら、なぜ教えるのか?
自分だけでやった方が儲かるはず。
2. 口コミを調べる
商品名で検索してみる。
- 「〇〇 詐欺」
- 「〇〇 評判」
- 「〇〇 返金」
ネガティブな情報も確認する。
3. 返金保証を確認
もし購入するなら、返金保証があるか確認。
でも、返金保証があっても安心しない。
返金手続きが面倒で、諦める人が多い。
4. 少額から始める
いきなり高額商品を買わない。
まずは、数千円の商品で試す。
そして、本当に価値があるか確認する。
第10章:まとめ
AI副業の闇の正体
AI副業ビジネスの闇は、
「AIを使って稼ぐ」のではなく、「AIの使い方を教えて稼ぐ」構造
にある。
- 無料商品で集客
- 少し高い商品で信頼を得る
- コンテンツ販売のノウハウを売る
- 購入者が自分も売る側になる
- 同じ商品が無限に増殖
この連鎖が続いている。
本当に大切なこと
AIは、確かに便利なツール。
でも、魔法の杖ではない。
本当に稼ぎたいなら、
- まず無料の情報で学ぶ
- 実際に手を動かす
- 地道に努力する
- スキルを磨く
近道はない。
最後に
もしあなたが、
「AIで稼ぎたい」
と思っているなら、
まず、情報商材を買う前に、
自分でAIを使ってみてほしい。
- ChatGPTで記事を書いてみる
- Midjourneyでイラストを生成してみる
- AIツールを試してみる
そうすれば、
「AIで稼ぐ」の現実が分かる。
そして、
本当に価値のある情報とは何か
が見えてくる。
騙されないでほしい。
本当に稼いでいるのは、「AIを使う人」ではなく、「AIの使い方を教える人」だ。
この現実を、忘れないでほしい。






