
自作ゲーム制作ツール「GameMaker」
ゲーム開発に興味があるが、プログラミング経験が少ない、または初心者でも本格的なゲームを作りたいと考えている方にとって、適切な開発ツールの選択は重要です。GameMakerは、1999年の誕生以来、世界中のインディーゲーム開発者に支持されてきた2Dゲーム開発エンジンです。
「Undertale」「Hotline Miami」「Hyper Light Drifter」といった商業的にも批評的にも成功を収めたタイトルがGameMakerで制作されたという事実は、このツールの実力を証明しています。初心者から上級者まで、幅広い開発者層に対応する柔軟性を持ちながら、高品質な2Dゲームの制作を可能にする点が、GameMakerの最大の特徴です。
本記事では、GameMakerの特徴、料金体系、使用する言語、向いているゲームジャンル、そして実際にこのエンジンで制作された代表的なゲームについて詳しく解説します。ゲーム開発を始めたい方、あるいは新しい開発ツールを検討している方にとって、GameMakerが自分に適したツールかどうかを判断する材料となるでしょう。
GameMakerの概要と内容



GameMakerは、オランダのMark Overmarsによって開発され、1999年11月15日に「Animo」という名前でリリースされました。当初はグラフィックツールとして限定的な機能しか持っていませんでしたが、その後「Game Maker」へと名称を変更し、汎用的な2Dゲーム開発ツールへと進化しました。
2021年にブラウザメーカーのOpera Softwareが運営会社であるYoYo Gamesを約1,000万ドルで買収しましたが、開発チームは変わらず、GameMakerの開発と進化は継続しています。2022年4月には「GameMaker Studio 2」から「GameMaker」へと名称を簡略化し、バージョン番号も年月形式(例:2022.1)に変更されました。
GameMakerの主要な構成要素は、統合開発環境(IDE)です。このIDEには以下の編集機能が組み込まれています。
- ラスターグラフィックエディタ
- レベルデザインエディタ
- スクリプトエディタ
- パスエディタ
- シェーダーエディタ(GLSLまたはHLSL対応)
ゲームの実行環境は、基本的にC++で書かれたランタイムシステムが動作します。開発者が記述したコードは、このランタイム上で実行される仕組みです。
GameMakerの設計思想は、プログラミング知識がほとんどない初心者でもゲーム制作を始められることを目指しつつ、経験豊富な開発者にも十分な機能と柔軟性を提供することにあります。この両立を実現するため、視覚的なプログラミング手法とテキストベースのコーディングの両方をサポートしています。
エクスポート機能も充実しており、Windows、macOS、Linux、iOS、Android、HTML5といった主要プラットフォームに対応しています。さらに、Enterprise版のライセンスを取得すれば、PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox Series X|Sといったコンソール機にも対応可能です。ただし、コンソール開発には各プラットフォームホルダーとの開発者契約が別途必要となります。
GameMakerは主に2Dグラフィックスを扱うゲームの制作を想定して設計されています。ラスターグラフィックス、ベクターグラフィックス(SWF形式)、2Dスケルタルアニメーション(Esoteric SoftwareのSpine対応)を標準でサポートしています。
3Dグラフィックスについても、頂点バッファとマトリックス関数を使用した限定的なサポートがありますが、これは主に上級者向けの機能であり、本格的な3Dゲーム開発には適していません。GameMakerの強みは、あくまで2Dゲーム開発にあります。
GameMakerの特徴
2つのプログラミング方法
GameMakerの最大の特徴は、2つの異なるプログラミング手法を提供している点です。
GML Visual(ビジュアルスクリプティング)
ドラッグアンドドロップ形式のブロックを使用してゲームロジックを組み立てる方法です。事前にコード化された機能ブロックを視覚的に配置し、接続することでプログラミングを行います。プログラミング経験がない初心者や、素早くプロトタイプを作成したい開発者に適しています。
GML Visualは単なる簡易ツールではありません。GameMaker Studio 2以降、このシステムは大幅に改良され、複雑なゲームロジックも実装可能になりました。また、GML Visualで作成したロジックは、IDE内でリアルタイムにコードプレビューとして表示され、テキストコードへの移行を容易にする仕組みも用意されています。
GML Code(テキストコーディング)
GameMaker Language(GML)と呼ばれる独自のスクリプト言語を使用して、テキストベースでコードを記述する方法です。より詳細な制御が必要な場合や、複雑な機能を実装したい上級者に適しています。プロジェクトの途中で、GML VisualからGML Codeへの切り替えも可能です。
初心者から上級者まで対応
GameMakerは段階的な学習曲線を提供します。初心者はGML Visualから始めて基本的なゲーム制作を学び、理解が深まるにつれてGML Codeへと移行することができます。この柔軟性により、開発者のスキルレベルに応じた最適な開発スタイルを選択できます。
一方で、プログラミング経験者は最初からGML Codeを使用し、細かい制御と最適化を行うことも可能です。この二面性が、GameMakerの大きな強みとなっています。
豊富な組み込み機能
GameMakerには、ゲーム開発に必要な機能が標準で組み込まれています。
- パーティクルシステム
- 物理エンジン(Box2D物理シミュレーション)
- ネットワーキング機能
- アニメーション編集機能
- タイルシステム(オートタイリング、タイルアニメーション対応)
- レイヤーベースのレベルエディタ
- レベル継承機能(異なるレベルバイオームを簡単に作成)
- サウンドとミュージックの統合管理
- アプリ内課金、広告、アナリティクス機能
これらの機能により、外部プラグインや追加ライブラリに頼ることなく、多くのゲームメカニクスを実装できます。
クロスプラットフォーム開発
GameMakerで制作したゲームは、最小限の変更で複数のプラットフォームに展開できます。開発者は一度ゲームを作成すれば、WindowsからmacOS、さらにはモバイルデバイスやWebブラウザまで、幅広いプラットフォームに対応させることが可能です。
この特徴により、開発工数を大幅に削減しながら、より多くのユーザーにゲームを届けることができます。
活発なコミュニティとサポート
GameMakerには世界中に活発なコミュニティが存在します。公式フォーラムでは、初心者から経験豊富な開発者まで、技術的な質問に対する回答や情報交換が日常的に行われています。
また、公式ドキュメントは非常に充実しており、IDE内からF1キーを押すだけでアクセスできます。オンライン版も公開されており、いつでも参照可能です。
チュートリアルやサンプルプロジェクトも豊富に用意されており、実践的な学習が可能です。YouTubeやその他のプラットフォームには、無数のGameMaker関連の教育コンテンツが存在します。
継続的なアップデート
GameMakerは定期的にアップデートが提供されます。新機能の追加、パフォーマンスの改善、バグ修正などが継続的に行われており、常に進化し続けているツールです。
2020年8月にリリースされたバージョン2.3では、IDE、ランタイム、スクリプト言語に多数の新機能が追加され、大きな進化を遂げました。このように、GameMakerは現代のゲーム開発のニーズに応え続けています。
料金体系
GameMakerの料金体系は、2023年11月に大きく変更され、より利用しやすい価格設定となりました。現在の料金体系は以下の通りです。
Free版(無料)
非商用利用の場合、GameMakerは完全に無料で使用できます。機能制限は一切なく、コンソール以外のすべてのプラットフォーム(Windows、macOS、Linux、iOS、Android、HTML5)へのエクスポートが可能です。
教育目的の場合、教育アカウントを取得することで、コンソール向けのエクスポートも含めたすべての機能を無料で使用できます。
無料版の利点は以下の通りです。
- 無制限のリソース使用
- すべての開発ツールへのアクセス
- 非コンソールプラットフォームへの完全なエクスポート機能
- 時間制限なし
- 永続的な使用が可能
この無料版により、GameMakerを試用し、学習し、非商用のプロジェクトを完成させることができます。趣味でゲーム制作を楽しみたい方や、学生、教育機関にとって理想的な選択肢です。
Professional版($99.99)
ゲームから収益を得たい場合、Professional版のライセンスが必要です。これは買い切り型のライセンスで、一度購入すれば永続的に使用できます。地域によって価格が調整されており、日本円での価格は公式サイトで確認できます。
Professional版には以下が含まれます。
- 商用利用の権利
- すべての非コンソールプラットフォームへのエクスポート
- GMS2ランタイムとGMRT(GameMaker Runtime)の両方に対応
- 専用サポートフォーラムへのアクセス
- 継続的なアップデートとサポート
以前にサブスクリプション(Creator/Indie tier)を利用していたユーザーには、支払った金額に応じた割引が適用されます。例えば、過去に1年間Indie tierを利用していた場合、Professional版のライセンスが無料で付与されます。
Enterprise版(サブスクリプション)
コンソール(PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox Series X|S)向けに開発したい場合は、Enterpriseサブスクリプションが必要です。これは月額または年額のサブスクリプション形式で提供されます。
ただし、Enterpriseサブスクリプションを購入しても、各コンソールメーカーとの開発者契約は別途必要となります。これらの契約なしでは、実際にコンソールプラットフォームにゲームをリリースすることはできません。
アセットバンドル
2023年11月以降、GameMakerの公式アセットバンドルはすべて無料で提供されています。これには、スプライト、サウンド、スクリプトテンプレートなど、ゲーム開発を加速させる多数のリソースが含まれます。
料金体系の変遷
GameMakerの料金体系は、時代とともに変化してきました。
- 初期バージョン(5.0以前):完全無料
- バージョン5.1:オプションの登録料制度導入
- バージョン5.3(2004年1月):有料機能の拡充
- GameMaker Studio時代:プラットフォームごとの買い切りライセンス
- 2021年8月:月額$10のIndieサブスクリプション導入
- 2023年11月:現在の料金体系へ移行(無料版拡充と買い切り型Professional版)
この変更は、Unity Runtime Feeの発表による業界の混乱を背景に、開発者により優しい価格設定を提供するという目的で行われました。
使用言語とプログラミング方法
GameMaker Language(GML)の概要
GameMakerで使用されるプログラミング言語は、GameMaker Language(GML)と呼ばれる独自のスクリプト言語です。GMLは、C++、C#、JavaScriptなどの主要なプログラミング言語の影響を受けて設計されています。
GMLの構文は、C言語系の言語に似ています。セミコロンで文を終了し、中括弧でコードブロックをグループ化します。変数、配列、ループ、条件文、関数といった一般的なプログラミング構成要素をサポートしています。
ランタイムシステムはC++で実装されており、開発者が記述したGMLコードは、このC++ランタイム上で実行されます。これにより、比較的高速な実行速度を実現しています。
GMLの特徴
GMLは初心者にとって学びやすい言語として設計されています。
型に関して柔軟な仕様を採用しており、厳格な型チェックを必要としません。これにより、プログラミング初心者でも変数の扱いに悩むことが少なくなっています。
一方で、経験豊富なプログラマーにとっても、十分な機能と制御を提供します。GameMakerのAPIは広範囲にわたり、グラフィックス、サウンド、物理演算、ネットワーキング、ファイル操作など、あらゆる側面を制御できます。
GMLの学習は、他のプログラミング言語の学習にも役立ちます。GMLで基本的なプログラミング概念を理解すれば、PythonやJavaScriptなど他の言語への移行も容易になります。
GMLの基本構造
GMLでは、オブジェクト指向の考え方を採用しています。ゲーム内のすべての要素(プレイヤー、敵、アイテム、背景など)は「オブジェクト」として扱われます。
各オブジェクトには「イベント」があり、特定の状況下で実行されるコードを定義します。主なイベントには以下のようなものがあります。
- Create Event:オブジェクトが生成されたときに実行
- Step Event:毎フレーム実行される
- Draw Event:オブジェクトを描画する際に実行
- Collision Event:他のオブジェクトと衝突したときに実行
- Key Press Event:キーボードが押されたときに実行
これらのイベント内にコードを記述することで、ゲームの動作を制御します。
GMLの記述例
GMLの基本的な記述パターンを示します。
変数の宣言と代入は以下のように行います。
var score;
score = 0;
条件分岐は if 文で記述します。
if (score > 100) {
show_message("勝利!");
} else {
show_message("敗北");
}
関数の定義は function キーワードを使用します。
function addPoints(points) {
score += points;
}
ループ処理には、repeat、while、for などが使用できます。
for (var i = 0; i < 10; i++) {
draw_text(100, 100 + i * 20, "テキスト");
}
これらの構文は、一般的なプログラミング言語と共通性が高く、プログラミング経験者にとって親しみやすい設計となっています。
GML Visualとの関係
GML Visualで作成したビジュアルブロックは、内部的にGMLコードに変換されます。GameMaker Studio 2以降、GML Visualで作業中でも、IDE内でそれに対応するGMLコードをプレビュー表示できる機能が追加されました。
この機能により、ビジュアルプログラミングから始めた初心者が、徐々にテキストコーディングへ移行する学習パスが明確になりました。
学習リソース
GMLの学習には、以下のリソースが利用できます。
公式マニュアルは、GameMaker IDE内からF1キーで即座にアクセスできます。オンライン版も公開されており、すべての関数、構文、使用例が詳細に説明されています。
公式チュートリアルでは、段階的にGMLの基礎から応用まで学べます。実際にコードを書きながら学習できる実践的な内容です。
コミュニティフォーラムでは、経験豊富な開発者が質問に答えてくれます。エラーメッセージの解釈方法やデバッグのテクニックなど、実践的な知識を得ることができます。
YouTube、Udemy、その他のオンライン学習プラットフォームには、無数のGMLチュートリアルが存在します。動画で視覚的に学習できるため、初心者にとって理解しやすい形式です。
DLLによる拡張
GMLの機能を超えた処理が必要な場合、DLL(Dynamic Link Library)を使用してGameMakerの機能を拡張できます。これにより、C++などで記述したネイティブコードをGMLから呼び出すことが可能になります。
上級開発者は、この機能を使用して、特定のプラットフォーム固有の機能や、パフォーマンスが重要な処理を実装できます。
どんなゲーム制作に向いているか
GameMakerは特定のジャンルやスタイルのゲーム制作に特に適しています。
2Dゲーム全般
GameMakerの最大の強みは、2Dゲーム制作です。エンジンの設計思想からツールセット、ランタイムの最適化まで、すべてが2Dゲームを念頭に置いて作られています。
2Dプラットフォーマー、トップダウンシューター、サイドスクローラー、パズルゲーム、RPG、アドベンチャーゲームなど、あらゆるタイプの2Dゲームを効率的に開発できます。
インディーゲーム
GameMakerは、小規模なインディー開発者にとって理想的なツールです。一人または少人数のチームでも、商業的に成功できるクオリティのゲームを制作できます。
実際、「Undertale」は主に一人の開発者(Toby Fox)によって制作され、世界中で大ヒットしました。「Hotline Miami」も小規模チームによる作品です。これらの成功例は、GameMakerが個人やインディースタジオに十分な機能を提供していることを証明しています。
レトロスタイルのゲーム
ピクセルアートを使用したレトロスタイルのゲーム制作に、GameMakerは特に適しています。ピクセルパーフェクトなレンダリング、パレット管理、低解像度グラフィックスの扱いなど、レトロゲーム制作に必要な機能が充実しています。
「Undertale」「Hotline Miami」「Downwell」など、多くの成功したレトロスタイルゲームがGameMakerで制作されています。
アクションゲーム
高速なアクションゲームにも対応できます。「Hotline Miami」のような高速トップダウンシューター、「Hyper Light Drifter」のようなアクションアドベンチャー、「Nuclear Throne」のようなローグライクシューターなど、反応速度が重要なゲームでも問題なく動作します。
物理エンジンが組み込まれているため、物理演算を使用したアクションゲームの制作も容易です。
RPG
ターン制RPGやアクションRPGの制作にも適しています。「Undertale」は、伝統的なRPGの要素を持ちながら、独自の戦闘システムを実装した好例です。
インベントリシステム、ダイアログシステム、クエスト管理、キャラクターステータスなど、RPGに必要な要素をGMLで柔軟に実装できます。
パズルゲーム
ロジックベースのパズルゲームやパズルプラットフォーマーの制作にも向いています。GameMakerの柔軟性により、独自のパズルメカニクスを実装することが容易です。
プロトタイピング
GameMakerは、ゲームアイデアの迅速なプロトタイピングにも優れています。GML Visualを使用すれば、プログラミング知識がなくても基本的なゲームメカニクスを短時間で試すことができます。
ゲームジャムでも頻繁に使用されており、48時間や72時間という限られた時間内で完成度の高いゲームを制作するのに適しています。
教育目的
ゲームプログラミングの教育ツールとしても優れています。ビジュアルプログラミングから始めて、徐々にテキストコーディングへ移行できる段階的な学習曲線により、プログラミングの基礎を学ぶのに適しています。
多くの教育機関がGameMakerをゲーム開発の入門ツールとして採用しています。
向いていないゲーム
一方で、GameMakerが向いていないゲームジャンルもあります。
本格的な3Dゲームには適していません。GameMakerには3D機能が存在しますが、これは限定的なものであり、Unity、Unreal Engine、Godotなどの本格的な3D対応エンジンと比較すると機能が制限されています。
大規模なマルチプレイヤーオンラインゲーム(MMO)のような、複雑なサーバーアーキテクチャが必要なゲームにも不向きです。
ただし、小規模なマルチプレイヤー機能やローカルマルチプレイヤーには対応しているため、協力プレイや対戦プレイを含む2Dゲームは問題なく制作できます。
代表的なゲーム
GameMakerで制作され、商業的・批評的に成功したゲームは数多く存在します。ここでは、特に著名な作品を紹介します。
Undertale
2015年にToby Foxによって開発され、リリースされたRPGです。プレイヤーは地下世界に落ちた人間の子供を操作し、モンスターたちと出会いながら地上への帰還を目指します。
最大の特徴は、伝統的なRPGの戦闘システムを覆した点です。プレイヤーは敵と戦う必要がなく、会話や行動によって平和的に解決することができます。この革新的なシステムと、魅力的なキャラクター、感動的なストーリー、印象的な音楽により、Undertaleは世界中で大ヒットしました。
ピクセルアートスタイルとレトロなグラフィックスを採用しながら、現代的なゲームデザインを融合させた本作は、インディーゲームの可能性を示す重要な作品となりました。
現在は、Windows、macOS、Linux、PlayStation 4、PlayStation Vita、Nintendo Switchなど、多数のプラットフォームで展開されています。
続編である「Deltarune」も、GameMakerで開発されています。
Hotline Miami
2012年にDennaton Gamesによって開発されたトップダウンアクションゲームです。1980年代のマイアミを舞台に、主人公は謎の電話による指示に従い、暴力的なミッションを遂行します。
高速かつ残忍なゲームプレイが特徴で、一撃で死亡する緊張感の中、戦略的に敵を倒していきます。レトロな美学、ネオンカラーの視覚効果、シンセウェーブサウンドトラックが独特の雰囲気を作り出しています。
難易度は高いものの、試行錯誤を繰り返すことでレベルをクリアする達成感が評価され、カルト的な人気を獲得しました。
2015年には続編「Hotline Miami 2: Wrong Number」もリリースされ、シリーズとして確立されました。
Hyper Light Drifter
2016年にHeart Machineによって開発されたアクションRPGです。言葉を使わず、ビジュアルと音楽だけでストーリーを語る独特のアプローチを採用しています。
美しいピクセルアートグラフィックス、流れるようなアニメーション、挑戦的な戦闘システムが特徴です。ゼルダの伝説シリーズからインスピレーションを受けつつ、独自の世界観を構築しています。
GameMakerの2D機能を最大限に活用し、あたかも3Dのような立体感と奥行きを表現している点が技術的に注目されました。
Nuclear Throne
2015年にVlamberrによって開発されたローグライクシューターです。ポストアポカリプスの世界を舞台に、ランダム生成されたレベルを進みながら、核の玉座を目指します。
高速な戦闘、多様な武器とキャラクター、高難易度が特徴です。死ぬたびに学習し、次の挑戦に活かすローグライク要素が中毒性を生み出しています。
Downwell
2015年にMoppin(開発者:Ojiro Fumoto)によって開発された縦スクロールシューティングゲームです。主人公は銃のついたブーツを履いて井戸を降下し、敵を倒しながら進みます。
シンプルながら深いゲームプレイ、モバイルデバイスに最適化された操作性、ミニマルなビジュアルデザインが評価されました。
モバイルゲームとして開発されましたが、その完成度の高さから、後にPC、Nintendo Switch、PlayStation 4にも移植されました。
Spelunky
Derek Yuによって開発された2Dプラットフォーマーです。ランダム生成される洞窟を探検し、宝を集めながら危険を回避します。
ローグライク要素とプラットフォーマーを融合させた先駆的な作品として、多くのゲームに影響を与えました。初期バージョンはGameMakerで開発されましたが、後にリメイク版が他のエンジンで制作されました。
Katana ZERO
2019年にAskiisoft開発されたアクションプラットフォーマーです。ネオノワールの雰囲気、時間操作メカニクス、スタイリッシュなアクションが特徴です。
Hotline Miamiに影響を受けつつ、独自の世界観とストーリーテリングを実現しています。
その他の注目作品
「Chicory: A Colorful Tale」「Risk of Rain」(初代)「Gunpoint」「Heat Signature」「Rivals of Aether」「Forager」「Minit」「Death’s Gambit」など、数多くの質の高いゲームがGameMakerで制作されています。
これらの作品群は、GameMakerが単なる入門者向けツールではなく、商業的に成功できるゲームを制作するための実用的なエンジンであることを証明しています。
その他の重要情報
GameMakerのバージョン履歴
GameMakerは長い歴史の中で、何度も進化してきました。
- 1999年:Animoとしてリリース
- 2004年:バージョン5.3でパーティクルシステム、ネットワーキング、DLL拡張機能を追加
- 2009年:初のmacOS対応版リリース
- 2011年:バージョン8.1で名称をGameMakerに変更、ランタイムをC++で再実装
- 2011年9月:GameMaker: HTML5リリース(Web向けエクスポート機能)
- 2012年3月:GameMaker: Studioのパブリックベータ開始
- 2012年5月:GameMaker: Studio正式リリース
- 2016年:GameMaker Studio 2リリース
- 2020年8月:バージョン2.3で大規模アップデート
- 2021年1月:Opera SoftwareによるYoYo Games買収
- 2021年8月:無料版と新サブスクリプションモデルの導入
- 2022年1月:バージョン番号を年月形式に変更
- 2022年4月:GameMaker Studio 2からGameMakerへ名称変更
- 2023年11月:料金体系の大幅変更(無料版拡充と買い切り型Professional版の導入)
プラットフォームサポート
現在サポートされているプラットフォームは以下の通りです。
デスクトップ:Windows、macOS、Ubuntu(Linux)
モバイル:iOS、Android、Amazon Fire TV、Android TV
Web:HTML5
コンソール(Enterprise版のみ):PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox Series X|S
その他:Raspberry Pi、Microsoft UWP
過去にサポートされていたが、現在は非推奨となったプラットフォームには、Windows Phone、Tizen、PlayStation 3、PlayStation Vitaがあります。
ゲームのエクスポート形式
WindowsおよびLinux向けには、NSISインストーラーまたはZIPファイル形式でエクスポートできます。ZIPファイルには、ゲーム実行ファイル、data.winファイル、およびプロジェクトの「Included Files」に追加したすべてのファイルが含まれます。
アニメーション機能
GameMakerには、リアルタイムアニメーション編集機能が搭載されています。これにより、ゲーム開発中にアニメーションを直接編集し、即座に結果を確認できます。
Esoteric SoftwareのSpineとの統合により、2Dスケルタルアニメーションもサポートされています。
パフォーマンス最適化
GameMakerで制作されたゲームは、適切に最適化すれば十分なパフォーマンスを発揮します。ただし、開発者はパフォーマンスを意識したコーディングを行う必要があります。
過度な描画処理、非効率なループ、メモリリークなどを避けることで、スムーズに動作するゲームを制作できます。
デバッグツール
GameMakerには、デバッグモードが用意されており、変数の値をリアルタイムで監視したり、ブレークポイントを設定したりできます。
エラーメッセージも比較的わかりやすく、初心者でも問題の原因を特定しやすい設計となっています。
マーケットプレイス
GameMaker Marketplaceでは、有料・無料のアセット、スクリプト、拡張機能が販売されています。グラフィックス、サウンド、プログラムテンプレートなど、開発を加速させるリソースが豊富に揃っています。
ライブ壁紙作成
2021年以降、GameMakerはゲーム開発だけでなく、アニメーション壁紙の作成にも対応しました。Opera GXブラウザやWindows向けの動的壁紙を制作できます。
ゲームジャムでの活用
GameMakerは、ゲームジャムで頻繁に使用されています。短時間でプロトタイプから完成品まで持っていける開発速度が、時間制限のあるゲームジャム環境に適しています。
公式のgm(48)ゲームジャムは、48時間でGameMakerを使用してゲームを制作するイベントで、定期的に開催されています。
競合ツールとの比較
GameMakerの主な競合ツールには、Unity、Godot、Construct、Stencylなどがあります。
Unityは3D機能が強力ですが、学習曲線が急です。Godotはオープンソースで無料ですが、コミュニティの規模はGameMakerより小さいです。Constructはビジュアルプログラミングに特化していますが、柔軟性はGameMakerより低いです。
GameMakerの強みは、2Dゲームに特化した機能セット、バランスの取れた学習曲線、活発なコミュニティ、買い切り型の料金オプションです。
まとめ
GameMakerは、2Dゲーム開発に特化した実用的なゲームエンジンです。1999年の誕生以来、継続的な進化を続け、現在では初心者から商業開発者まで幅広く利用されています。
最大の特徴は、ビジュアルプログラミング(GML Visual)とテキストコーディング(GML Code)の両方をサポートし、開発者のスキルレベルに応じた柔軟な開発スタイルを提供している点です。プログラミング未経験者でも取り組みやすく、同時に経験豊富な開発者にも十分な機能を提供します。
料金体系は2023年11月に大幅に改善され、非商用利用は完全無料、商用利用でも$99.99の買い切り型Professional版で対応できます。この価格設定は、インディー開発者や個人開発者にとって非常にアクセスしやすいものとなっています。
使用言語であるGameMaker Language(GML)は、C++、C#、JavaScriptの影響を受けた独自のスクリプト言語です。一般的なプログラミング言語との共通性が高く、GMLを学習することは他の言語の学習にも役立ちます。
GameMakerは特に以下のような開発に適しています。
- あらゆるタイプの2Dゲーム
- インディーゲーム
- レトロスタイルのゲーム
- アクションゲームとシューティングゲーム
- RPG
- パズルゲーム
- ゲームアイデアの迅速なプロトタイピング
一方で、本格的な3Dゲームや大規模マルチプレイヤーゲームには向いていません。GameMakerの強みはあくまで2D領域にあります。
「Undertale」「Hotline Miami」「Hyper Light Drifter」「Nuclear Throne」「Downwell」など、数多くの商業的・批評的に成功したゲームがGameMakerで制作されています。これらの実績は、GameMakerが趣味のツールではなく、プロフェッショナルな開発に耐えうるエンジンであることを証明しています。
活発なコミュニティ、充実した公式ドキュメント、豊富な学習リソース、定期的なアップデートといったサポート体制も、GameMakerの大きな魅力です。
2Dゲームの制作を考えている方、ゲーム開発を学びたい初心者、インディーゲーム開発者にとって、GameMakerは検討する価値のある優れた選択肢です。無料版が提供されているため、リスクなく試用し、自分に合ったツールかどうかを判断できます。
ゲーム開発の夢を実現するための最初の一歩として、GameMakerは理想的なパートナーとなるでしょう。

















